入れ歯を科学する≪vol.4≫入れ歯でも自然な口元を 美しくきれいな入れ歯の話
≪vol.4≫入れ歯でも自然な口元を 美しくきれいな入れ歯の話
唇や頬などの口まわりは、歯が抜けてしまうと小さくすぼみ、シワシワになってしまいます。いわゆる老人性顔貌と呼ばれる老けた表情になります。そのため入れ歯で口元を支えて審美性を回復させます。しかし入れ歯の歯並びに不満のある方は、意外とたくさんいらっしゃいます。食べられることはもちろん、見た目に関しても満足してはじめて美しい入れ歯になります。今回は入れ歯のきれいな歯並びのお話です。
美しい歯並びとはどのようなものでしょう。「それは好みじゃないの?」と思われるかもしれません。確かにセンスによるところもあるでしょう。しかしそれだとたまたまきれいな歯並びになることもあるかもしれませんが、満足いかないこともあるでしょう。特に前歯6本の形や色は重要で、お顔の印象に大きな影響を与えます。歯並びにも解剖学的な基準があります。いくら好みといえども、あまりにも基準から逸脱してしまうとおかしくなります。科学的に診査して入れ歯の歯(人工歯)を選択したら、直感が占める割合を減らすことができ、その結果「自然と美しく見える」ようになります。
人工歯はどれも同じではありません。サイズ(寸法)、モールド(形態)、シェード(色調)によって分類され、700種類以上あります。ただその中から「どれにしましょう」とお聞きしても、みなさん迷われるだけです。そのため年齢や性別、解剖学的にお顔に調和した人工歯をいくつか私が選択した上で、みなさんのリクエストを取り入れて歯並びに反映させていきます。
解剖学的基準の人工歯はどのようなものでしょう。一番前の歯の幅は顔の幅の1/18の大きさで、前歯部6歯は鼻の幅ぐらいです。また長い顔の人は歯も長く、丸顔の人は歯が短いというように、歯と顔の形には関連性があります。そのため四角型(スクエア)、尖形(テーパリング)、その中間形(コンビネーション)といった人工歯形態があります。色調についても年齢と共に濃くなっていきます。そのためとても白い歯から濃い白い歯、黄色やオレンジ色、青みがかった色の人工歯まであります。
もちろん美しさの基準は個人個人の心が決めるものであり、明確な要求があればそれを満たすことを優先するべき、と私は考えています。ただ上記のように解剖学的な基準をもとに、患者さんのお顔に調和した人工歯を選択してアレンジを加えると、皆さんとても満足していただけます。