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入れ歯の悩みと解決法

入れ歯の悩みと解決法

入れ歯の悩み一覧

ここでは私が患者さんからいただいた様々な悩みについての解決法をできるだけ詳しくお答えします。もちろん全部読まれる必要はありません。あなたの悩みについてだけでも結構です。気になった、あるいは興味をもたれたところにも目を通していただけたら幸いです。関係のある同じような悩みもどこを読めばいいのか書いてありますので、それも参考にしてください。

入れ歯を入れると痛い、あれる【Q1~Q7】
Q1.入れ歯が痛くて、物を食べられません入れ歯が痛くていれてられません。口内炎もできています。かむと痛くて食事もできなくなってしまいました。ろくにかまずに飲み込んでいるので、消化不良で胃腸への影響も心配です。どうしたらいいのでしょう?
ほぼ毎日といっていいほど「入れ歯が痛い」という相談をうけます。それほど困っておられる、あるいは我慢されている患者さんが多いということです。「すこし様子をみたら治るかと思い、我慢していました」とおっしゃる患者さんもおられますが、入れ歯の痛みはちょっと様子をみたからといって絶対によくなりません。調整をしなければ痛みはとれませんから我慢されずにすぐにおっしゃってください。
痛みの原因は簡単にいうと、入れ歯と歯ぐきがこすれて傷になるからです。もうすこしわかりやすく説明していきます。
まず入れ歯のふちが長すぎて口が動くたびに歯ぐきをこすって傷になる場合があります。
入れ歯をつくる時、口の型取りをします。その時に粘膜を押し広げすぎてかたどってしまうと大きな入れ歯が出来あがってきてしまいます。そのような入れ歯はただ口の中にいれて閉じているだけならいいのですが、食事をしたりすると必ず粘膜がふちにこすれてしまい傷をつけてしまいます。したがってふちがあたらないように削りとってしまう必要があります。
もう1つ、入れ歯の内面が歯ぐきの弱い部分をこすって傷になる場合があります。歯ぐきの弱い部分とはどういうことでしょう?それは骨がすぐ下にあり、歯ぐきの厚さが薄い場所のことをいいます。このような場所は厚さが薄いためにちょっとの入れ歯の動きでこすれて傷になってしまいます。特に傷のできやすい薄いところは、上あごでは奥歯の頬側、下あごでは舌側の骨の内面がそうです。
こういう部分にはあらかじめ隙間をもうけて入れ歯をつくります。しかし隙間をもうけたからといって痛みがでないわけではありません。実際に口の中にいれてみるとあたってしまうことがよくあります。その時はさらに内面をけずってあたらないようにする必要があります。
ただ適切な最小限度の量をけずらないと、今まで痛くなかったのに他の場所が痛くなってしまうことがあるので慎重な調整が必要になります。
Q2.口の中が乾燥してカサカサします口の中が乾燥するためか、入れ歯で歯ぐきがこすれて痛いです。乾燥するのは入れ歯をいれているせいでしょうか?
それは入れ歯とは関係のないと思われます。おそらく口腔乾燥症(ドライマウス)のせいでしょう。口腔乾燥症とは、唾液の分泌量が減って口が渇いた状態になることです。症状が進行すると、舌や口の粘膜がひび割れて痛む、口内炎になる、ものを飲み込めない、話しにくくなるといった不快な症状があらわれます。また乾燥はむし歯や歯周病の原因にもなりますし、口臭や味覚障害がおこることもあります。
お悩みのように唾液の量が少なく口の中が乾燥していると、口の中は非常に悪い状態となります。入れ歯自体には問題がなくても、ちょっとこすれただけで痛みや傷になってしまったり、はずれやすくなってしまったりします。
原因は色々ありますが、最も多いのは薬の副作用です。高血圧の方が飲まれる降圧剤や抗アレルギー薬、抗うつ剤などは唾液の分泌量を減らしてしまう作用があるといわれています。また多くの薬を飲まれている方も薬の相互作用によっておきてしまいます。
涙や唾液が出にくくなるシェーグレン症候群という病気や糖尿病、腎臓病、顔や口の放射線治療を受けられた方も乾燥しやすくなります。
治療法としてはまず原因を特定し、唾液が出やすくなる薬の服用や、薬の副作用なら内科の先生と相談して今飲まれている薬の変更や減量が必要でしょう。そのほか人工唾液や保湿剤といった口が潤うものもありますので、歯科医としてはそれを処方さしていただいています。
Q3.口の中がピリピリします入れ歯を入れていると、口の中がピリピリとした感じがします。うまく表現できないのですが、圧迫されるような、焼けるような感じがして仕方ありません。どうしてでしょうか?
神経が圧迫されるためにお悩みの症状がでるのでしょう。あごの骨にはいくつか大きな神経の出入り口があります。上あごでは前歯の部分の切歯管部、奥歯の大口蓋孔部、下あごではオトガイ孔部とよばれるところです。通常そこにはあまり力が加わらないように避けて入れ歯はつくられています。しかし骨の吸収が進み、その出入り口の神経が圧迫されるようになると、ピリピリした圧迫されるような熱感がでてきます。このような時にはその出入り口に力がかからないように入れ歯をけずって調整すれば、その症状は自然と消えていくでしょう。
Q4.唇の横があれます唇の横がいつもあれています。赤みを帯びてジュクジュクしています。口内炎の薬を塗ってもよくなりませんし、どうしたらいいのでしょう
これは口角炎ですね。上唇と下唇の交わるところを口角といいます。入れ歯のかみ合わせが低いとこの部分が赤みをもって、かさぶたやあれた状態になってしまいます。薬はあまり効かないと思います。このような時には奥歯のかみ合わせを少しあげてもらうといいでしょう。口角がたるんだ状態からはりのある状態になるはずです。しばらくするとお悩みの症状は自然と消えていくことでしょう。
Q5.舌がピリピリします舌が荒れてピリピリします。これも入れ歯のせいでしょうか?
入れ歯のふちを指でさわってみてください。ざらざらしているようならそのせいでしょう。また細く鋭くなっているために、切れて傷つく場合もあります。
その他には入れ歯の成分が溶け出している可能性もあります。プラスチックの部分は化学反応によって固めてつくっていきます。その際にはゆっくりと低温で長時間かけて固めていけば問題ないのですが、時間節約のため高温、短時間で固めてしまうこともあります。
そうした場合一見問題ないようにできあがりますが、実際にはしっかり固まっておらず、成分が溶け出してくることがあります。接着剤のような味がして舌が敏感な人ならすぐ気づくでしょう。この時はつくり直してもらったほうがいいでしょう。
入れ歯に問題がない場合には、全身的な問題が考えられます。ビタミンBが不足すると舌があれやすくなります。そのほか唾の出る量が少なくなると口の中が乾燥してちょっとしたことで傷がついてしまいます。そのような場合には、それらの治療が必要となります。
Q6.入れ歯の裏にものがたまります食事をすると入れ歯の裏に必ず食べかすがたまって、毎回洗い流さなければなりません。食事中にゴマとかが入り込んで痛い思いをすることもあります。なんとかなりませんか?
入れ歯と歯ぐきとの適合が悪く、安定していないと裏に食べかすがたまります。その場合は入れ歯の裏うちをして、ぴったりするようにすれば問題なくなります。 ただしいくら適合を良くしても解決しない場合があります。それは上の歯が数本だけ残っているような状態で部分入れ歯をお使いの場合です。それはいくらぴったりと適合を良くしても重力によって自然と落ちてきてしまうからです。このような時には使った後はよく洗ってもらうことを約束して入れ歯安定剤を使っていただくか、インプラントなどの処置が必要となります。
Q7.入れ歯がざらざらします入れ歯の縁をなめるとざらざらした感じがします。舌もこすれて痛いですし、気になってしかたありません。
入れ歯は粘膜が傷つかないように滑らかにみがきあげられています。したがってざらざらした感じは本来ないはずです。ではどのような時にざらざらするのでしょう。
まずみがきあげ不足が考えられます。入れ歯の修理やつぎ足した後に、仕上げをおこたるとこのようなことがおこります。これは完全に歯科医の責任です。もう一度みがいてもらいましょう。
他に入れ歯の破折、ひびが考えられます。自分で気づかないうちに一部分われてしまっていることがあります。とくにひびは光にあててよくみないとわからないことがあります。
小さなひびや破折もほっておくとだんだんと大きくなってしまいます。このような場合はすぐに修理してもらったほうがいいでしょう。
入れ歯が落ちる、浮き上がる、安定剤について【Q8~Q12】
Q8.口をあけると上の入れ歯がはずれてしまいます口を開けるたびに上の入れ歯が落ちてきます。いつはずれてしまうのか心配で、口を大きく開けることもできません。話すことも食事も落ち着いてできません。どうすればいいのでしょうか?
患者さんにとって最悪の入れ歯は口を開けると落ちてくる入れ歯であることはいうまでもありません。落ちてくる理由としては5つの原因が考えられます。入れ歯の大きさ、厚さ、かみ合わせ、歯の位置、歯ぐきとの適合です。
まず大きさですが、入れ歯の縁が長すぎる場合です。口を閉じている状態と開けた状態とでは筋肉の動きで頬の粘膜の一番深い位置が変化します。そのため長すぎると口を開けた時に頬の粘膜に押し上げられて、はずれる力が加わります。
入れ歯の縁が厚すぎる時も、同じように頬の粘膜の動きに影響されます。これは指を入れてみるとすぐ理解していただけると思います。頬と歯との間にあるくぼみに指を入れてみてください。閉じた状態から口を開けると指が頬に押されるのがわかると思います。これが厚すぎたらはずれる理由です。
次にかみ合わせです。左右均等にかみ合っていないと入れ歯は安定しません。ゆっくりと上の歯と下の歯をあわせてみてください。どこか先にあたる歯やすべりながらかみ合ったりしていませんか?もしそうならかみ合わせの調整が必要となります。
歯の位置も重要です。とくに前歯ですが、前のほうに並べられていると唇の力によって押さえつけられるとはずれてしまいます。入れ歯は患者さんの口をかたどった模型でつくられますが、そこには唇や頬などは存在しません。したがって入れ歯をつくっていく段階で歯を並べるのにちょうどいい場所を患者さんと一緒に探っていかなければならないわけです。
最後に適合性です。入れ歯と歯ぐきがどれだけぴったりと隙間なくくっついているかです。ぴったりしていたら吸着力が働きます。ちょうど吸盤がくっつくのと同じように、歯ぐきに入れ歯が吸いつき落ちなくなります。適合が悪いと吸着力が働かず簡単に落ちてしまいます。
以上のような原因があると入れ歯ははずれやすくなります。
入れ歯は、本来あるべきはずの歯の位置におさまらなければなりません。その位置をデンチャースペースといいます。技術的にも非常に難しいのですが、頬に寄りすぎず、舌に寄りすぎず、ちょうどよくぴったりおさまるべき位置をみつけて入れ歯をつくっていかなければいけません。
Q9.下の入れ歯がすぐはずれてしまいます下の入れ歯が口を開けると簡単にはずれてしまいます。食事をしたり、話したりしても前に飛び出してきて困っています。なんとかならないでしょうか?
理由は簡単です。頬や唇、あるいは舌に押されるから浮き上がるのです。したがってそれらの力がかからない位置に入れ歯が収まるような大きさにすればいいわけです。入れ歯をいれてもらい、浮き上がってくる様子をじっくりと見せていただくと、どの部分から浮き上がってくるのかが観察できます。ある人は唇に押されるようにはずれますし、頬に押されるようにしながら浮き上がってくる人もいます。どの場所の力がかかっているかを見つけることができたら、問題はほとんど解決したと同然です。その場所をけずって小さく力がかからないようにすればもう大丈夫です。
これではずれることはなくなると思いますが、さらによりよい状態にすることもできます。それは吸着を求めて、吸い付く入れ歯にすることです。入れ歯を取り巻く、頬や唇、舌と大きすぎることなく、小さすぎることなく、ちょうどよいぎりぎりの大きさにすることで、入れ歯は「キュッ」という音とともに非常に強く吸いついてはずれなくなります。
これはたいへん技術が必要で神経をつかう治療になりますが、この音を聞くとうまくいったな、とうれしくなります。
下の入れ歯がはずれるという悩みはとても多く、それだけ難しく解決されていない問題ということです。しかしあきらめないで、一度相談してみてください。
Q10.入れ歯安定剤は使うのはどうなのでしょうか?テレビで入れ歯安定剤のコマーシャルをよく見ますが、どうなのでしょうか?今使っている入れ歯がすぐ落ちるようになってきたので安定剤を使おうかと思っています。コマーシャルをみているとよくかめるようになるような気がするのですが・・・
入れ歯落ちてきたりはずれたりするため、安定剤をつかわれている方は多いようです。テレビでもあれだけ宣伝されているためか、かなりの入れ歯安定剤が使われているようで売り上げは年間80~100億円にも達しているようです。
安定剤は一時的しのぎには非常に便利なものですが、応急処置にとどめておくべきでしょう。例えば人前で話さないといけないことがあるなどの急場をしのぐ時です。入れ歯がはずれてくるのは、歯ぐきと入れ歯の適合やかみあわせが悪くなってきているからです。
安定剤をつかうと見た目上安定してかめるようになりますが、問題は何一つ解決していません。逆に便利だからといって長期間使っていると、すこしずつかみあわせがずれていき、歯ぐきが悪くなってコンニャクのように柔らかくブヨブヨになったり、あごの骨の吸収を引き起こしたりします。
また安定剤を使用した後、きれいに取ることが結構難しくどうしても残って不潔になりやすいです。そうならないためにもはやく相談されて入れ歯の適合をよくしてもらったほうがいいでしょう。
ただしどうしても安定剤の力を借りなければならない人もいらっしゃいます。非常に骨が吸収してしまったりしていて、どんな入れ歯にしてもはずれてしまうような方たちです。
そのような方には条件付での使用となります。どのような条件かというと、安定剤をつかったらその夜には残らないようによく洗い取ること、クリームか粉末状の安定剤を使うこと、定期的な検診をしてもらうことです。これは安定剤による歯ぐきの悪化を防ぐためです。
Q11.物をかむと入れ歯がはずれてしまいます食事中、あるところでかむといつもきまって入れ歯が急にはずれてしまいます。他のところでかんでもまったく問題ないのですが・・・かみ方が悪いのでしょうか?
歯の並んでいる位置が適切でないことが原因でしょう。歯が本来あるべき位置より頬よりに並んでいると、はずれようとする力がかかりやすくなります。かんだ時に入れ歯にかかる力の方向が重要なのです。歯の並び具合が悪く、外の方向、つまり入れ歯がはずれようとする方向にかんだ力が加わるようであれば、お悩みのようにいつも決まってはずれてしまいます。
歯の位置をやや舌側寄りにしてかみ合わせを調整すれば問題なくなると思います。
Q12.入れ歯が前後左右に動いて安定しません右でかむと入れ歯の左側が浮いてしまい、左でかむと右が浮きます。前後にも動きますし、入れ歯が安定していないように思えます。しっかりさせることはできないのでしょうか?
右でかむと左が、左でかむと右が浮き上がってしまう、隙間ができてしまってまるでシーソーのような入れ歯ですね。このような動きをする時には、シーソーの支点となる場所があるはずです。その場所をみつけて、前後左右バランスよく安定するように入れ歯の内側を調整する必要があります。
隙間ができてしまう理由として、長年使っているためすこしずつあわなくなってきた、入れ歯が変形してしまった、などが考えられます。60℃以上の熱いお湯にいれると入れ歯は変形してしまいますので注意してください。
シーソーのように動く入れ歯でも、なぜか問題なく使われている方もいらっしゃいます。
絶妙な力の加わり方、かみ方、頬や舌の動きによってはずれないのでしょう。だからといってほって置くと、歯ぐきが傷ついたり骨の異常吸収がおきたりしまいます。したがって隙間があるな、動くな、と思われたらすぐに調整してもらってください。
噛み合わせがおかしい【Q13~Q16】
Q13.うまく物がかめません入れ歯にしてから、かむ力が入りにくくなったような気がします。以前のようにしっかりと力をいれてかめません。慣れていないからでしょうか?
かむ時に力が入らない場合には、かみ合わせがひくいことのほかに筋肉の力が低下しているという理由もあります。入れ歯になった場合、本来の1/6~1/10程度のかむ力しかありません。したがって以前のようにしっかりとかむということはあまり期待できません。それは仕方ないことです。
だからといってかめないというわけではありません。少ない力で食べ物をかみきれるように入れ歯の歯の形を修正することでかめるようになります。ツルツルの面のような歯ではかむのに大きな力が必要です。歯を凹凸のあるとがらせた形にすれば、かみ切るのに小さな力ですみます。また食べ物の流れがよくなるような形にすればなおよいでしょう。
あなたの歯はツルツルで平たくありませんか?もしそうならよくかみ切れるように形を修正してもらってください。
Q14.かむ時いつも前歯からあたります食事をする時、いつも前歯が先にあたってから奥歯があたります。はずれていまいそうな気がして仕方ありません。入れ歯ではこのようなかみ合わせなのでしょうか?
ちがいます。入れ歯だからといって前歯からあたるようなかみ合わせにすることはありません。逆に前歯に力がかかると入れ歯にははずれる力がかかるので当たらないようにするくらいです。
もし最初から前歯があたるのであれば入れ歯の歯並びの問題です。つくっていくうえでかみ合わせをチェックしていく段階があるのですが、その際にいつものかみ合わせより前でかんでいた可能性があります。前歯からあたるような入れ歯をあまり長く使われることはお勧めしません。なぜなら上の前歯の歯ぐきが柔らかくブヨブヨになってしまうからです。
あなたがもし長年使われているうちに前歯から当たるようになられたのであれば、それは奥歯がすり減ってきたためでしょう。このような場合にはもう一度本来のかみ合わせの高さに戻す必要があります。
Q15.耳鳴りに悩んでいます入れ歯にしてから耳鳴りがするようになりました。耳鼻咽喉科で検査してもらっても、耳には異常はないといわれました。入れ歯をいれることによって耳鳴りがおこることはあるのでしょうか?
耳鳴りの原因が入れ歯かどうかははっきりとはわかりません。しかし関係することもあるようです。
耳のちょっと前に指をあててみてください。そして口を開けたり閉めたりしてみてください。その時指に動きを感じると思います。それがなにかというと、下あごの骨なのです。
下顎頭といわれるもので、あごの関節をつくっています。
お分かりと思いますが、耳と下顎頭は非常に近い位置にあります。かみ合わせが低すぎ、あるいは下顎頭が関節の後ろのほうに位置するようなかみ合わせだとします。すると関節が圧迫され血液の循環が悪くなり、すぐ後ろの耳に影響がでてきて耳鳴りや難聴になる可能性もあります。
入れ歯をはずして寝て、朝起きると耳がおかしかったり、あごがいやに疲れていたりすることがある場合にはこのような原因が考えられます。その時は入れ歯をいれたまま寝るほうがいいでしょう。
Q16.姿勢が悪くなって、腰痛がおきます入れ歯にしてから姿勢が悪くなったような気がします。かみあわせと姿勢が関係あることを以前新聞で読んだことがあるのですが、それは入れ歯でも関係することはありますか?
人間には代償作用という働きがあります。体のある部分が傷ついたりすると、他の部分がその部分の働きの代償をするというものです。よく知られているのが腎臓です。片方の腎臓が病気で失われても、残ったもう1つのほうが今まで以上の働きをしてくれます。
かみ合わせが悪いと、その代償作用によって体全体のバランスが悪くなり、歪んでしまいます。人間は頭を背骨で支えていますが、これは重心が上にあり非常にバランスをとるのが難しいことなのです。その状態でかみ合わせに問題があると、あごがずれて頭の安定が悪くなります。それを背骨で補おうとして背骨が曲がってきます。歪はどんどん下に進んでいき、腰が痛くなってしまいます。
かみ合わせの問題は当然入れ歯でもおこりますので、腰痛の原因となることもあります。
腰痛に悩まされている方は非常に多くいらっしゃいます。ただ長年悩んでいらっしゃるのは、症状の表れている場所のみに注意がいってしまっているからでないでしょうか?体全体でみると、かみ合わせの異状による体の歪というのは重要なポイントです。
見た目が悪い、口元が気になる【Q17~Q28】
Q17.しわが多くなり、年寄り顔になったような気がします入れ歯にしたら急にしわがふえ、年寄り顔になってしまいました。友達からもふけたねといわれます。鏡をみるのがいやになってしまいました。なんとかしてくだい。
これはデンチャーフェイスといわれるものですね。
日本語で言うと、入れ歯顔、いわゆる老人顔といっていいでしょう。あわない入れ歯を長い間使っていたり、歯のない状態で長くいたりすると、口の周りや頬の筋肉が落ちてたるんできます。
入れ歯をいれてからということですと、おそらくかみ合わせが低すぎるのでしょう。低すぎると、口元がクシャっとすぼまった感じになり、鼻の下にしわが寄ります。せっかく入れ歯をいれても口元は貧相なままでは残念です。入れ歯の役割のひとつに、顔の形の回復があります。ちょうどいいかみ合わせにして口元や頬にはりがでる大きさの入れ歯にされたら、口元も引締まり、表情もきっと若々しくなるでしょう。
Q18.歯並びが昔のイメージと違います新しい入れ歯にしてから歯並びが今までの感じと全然違います。家族からも別人のようになったといわれてしまいました。自分で歯の大きさとか色なども選べないのですか?なんとかならなかったのでしょうか?
壁のようにベタっとならんだ歯並びだったのでしょうか?前歯の並び具合は見た目や表情に大きく影響してきます。そのため入れ歯をつくっていく際には、完成の一歩手前で試適をおこないます。これはロウでできた入れ歯に歯をならべて最終チェックをおこなうことです。完成してしまうと歯並びを変えることはできません。しかしロウだったら温めたらやわらかくなるため、簡単に歯並びを変えることができるからです。
入れ歯にならべる歯は人工歯といいます。人工歯には色々な大きさ、形、色があります。あなたの性別、体格、顔つき、年齢、肌の色を考慮しながら人工歯を選んでいきます。顔の輪郭が卵形の人には卵円形の人工歯、四角い顔の人には方形の人工歯、とんがった顔の人には尖型の人工歯がよくあいます。女性には繊細で丸みのある形がいいでしょう。また若い時は明るい黄白色がいいですが、年をとると黄褐色になるのでそのような色の選択もできます。
ちょっとした並び加減が大きく表情を変えます。慎重に試適をおこない、自分の意見を遠慮なさらずにしっかりお伝えください。そのことがこれからのあなたの人生に大きな影響を与えることになりますから。
Q19.歯が見えすぎます上の前歯が見えすぎて困っています。もう少し唇にかぶっているほうが良かったのですが・・・見た目とかはあまり注意してつくってもらえないのでしょうか?
もちろん見た目も重視してつくらしてもらっています。ただもうちょっと確認しながらつくったらよりよい入れ歯ができていたでしょう。
歯が見えすぎているとのことですが、唇の下からどれくらいのぞいていますか?2ミリ以上なら出すぎです。通常前歯ののぞいている量は1~2ミリといわれており、それを目安としています。ただみんなにそうしていると見た目に不具合がおきてくる人もいます。
鼻の下から上唇までの距離が短い人はそれでいいかもしれませんが、長い人が同じようにでているとのびた顔になってしまいおかしいでしょう。長い人には見えるか見えないかぐらいがちょうどいいと思います。
また年を取られている方の場合、あまり見えないほうがいいでしょう。歯は年齢とともにすり減っていきます。そのことを考えるとあまり歯をのぞかせ過ぎないほうが自然な感じでいいと思います。
見た目は患者さんの色々なご希望があります。そのためよく話し合って決めていかなければなりません。
Q20.口紅がうまくぬれません入れ歯にしてから口紅がうまくぬれなくなってしまいました。以前は唇がもっとふっくらしていたような気がします。入れ歯にしたら顔の形も変わってしまうのでしょうか?
それは入れ歯の前歯が本来のあった歯の位置よりうしろにならべられたためだと思います。そのため唇のはりがなくなってしまったのでしょう。このようなことをリップ・サポートがなくなるといいます。わかりやすくいうと、唇への支えがなくなるということですね。 前歯の並び具合や入れ歯のふちの厚みによるリップ・サポートは審美的に非常に大切なものです。
入れ歯をつくっていく段階で、正面からの見た目はチェックすることは多いのですが、側方から見たチェックはされないことが多いようです。そのため唇のはり具合が十分でなかったのでしょう。前歯の位置をすこし前に移動させることによってお悩みは解決するでしょう。歯がある時の側貌がわかる写真があればおおいに参考になり、以前と同じ顔つきにもどられることでしょう。
Q21.入れ歯についている金属が見えるのが気になります口をあけると歯にかける入れ歯のバネが見えてしまいます。話をしていても、友人に常に金属の部分をみられているようで気になります。できたら自分が入れ歯であることをあまり知られたくないのですが、なにかよい方法はありますか?
入れ歯が落ちてこない、あるいは浮き上がらないようにためにバネが必要です。ただ奥歯を失ってしまうと前歯にバネをかけざるおえなくなってしまいます。下の歯は目立ちにくいですが、上の歯、特に前から3番目の歯までにかける場合には非常に目立ってしまいます。
1番簡単な方法は唇にかくれる範囲のバネにしてしまうことです。これだと今のバネでもちょっとけずって調整するだけですむこともあります。ただ大きく口を開けたり、笑ったりするとどうしてもみえてしまうでしょう。
最近ではそのような悩みを解決するために色々な種類の入れ歯が開発されています。磁石の力を利用したマグネットの入れ歯、バネの色を白くして目立たなくしたもの、インプラントなどがそうです。これらを利用することでよりバネの見えない自然な口元の入れ歯になります。
Q22.入れ歯だとわからなくしたいのですが新しい入れ歯にしたら、友人に「入れ歯新しくしたのね」といわれました。できることなら人に気づかれないような入れ歯にしたいのですが・・・入れ歯とわかりにくいようにつくってもらえないでしょうか?
むずかしいお悩みですね。真っ白で四角い歯がべたっと並んでいたら、いかにも入れ歯とわかってしまいますね。やはり見た目の自然さが重要です。私も入れ歯と気づかれない自然な入れ歯づくりを心がけています。「歯科医療にたずさわっている専門的な目をもった人からみても、患者さん自身の歯ではないかと思うような自然な状態にできている入れ歯」をと。
いろいろと美しさを引き立てる歯の並び具合も研究されています。アメリカ人が好むハリウッドスマイルというのがあります。まるでハリウッドの女優俳優のような笑顔のことです。下唇のラインに上の歯が並んでいて、下の歯は見えなく、真っ白の歯。そのような歯もいいですが、それこそ不自然で入れ歯とすぐわかってしまうでしょう。
昔の写真があれば、それを参考にさしていただくのが一番だと思います。そうすることによって、ご家族や友人からみても、表情のある自然な感じにみえる入れ歯にすることは可能です。口元に自信がでてくれば、自然と素敵な笑顔になることでしょう。
Q23.歯の大きさが大きすぎます前歯の大きさが大きすぎるような気がします。自分の歯はなくなってしまっていて、前の大きさはよくおぼえていないのですが・・・よくわからないのですがどれくらいの大きさがいいのでしょうか?
歯は大きすぎても小さすぎてもいけません。顔の印象が大きく変わってしまいます。ですから大きさの選びは慎重にしなければいけないわけです。
まず基準となる大きさですが、上の一番前の歯の横幅は顔の幅の1/18といわれています。おそらくそれをおおきくはずれてしまい、おかしく思われているのでしょう。逆にただ女性の方は小さめの歯を好まれるようで、逆に小さすぎておかしく見えることもあります。
大きさだけでなく形によっても大きく見えたりもします。形も数種類あり、丸顔の人には角の丸まっている歯を、四角い顔の人には角張った歯にしたほうが同じ大きさにしたとしても見た目の違和感が少ないでしょう。
Q24.入れ歯が前後左右に動いて安定しません右でかむと入れ歯の左側が浮いてしまい、左でかむと右が浮きます。前後にも動きますし、入れ歯が安定していないように思えます。しっかりさせることはできないのでしょうか?
右でかむと左が、左でかむと右が浮き上がってしまう、隙間ができてしまってまるでシーソーのような入れ歯ですね。このような動きをする時には、シーソーの支点となる場所があるはずです。その場所をみつけて、前後左右バランスよく安定するように入れ歯の内側を調整する必要があります。
隙間ができてしまう理由として、長年使っているためすこしずつあわなくなってきた、入れ歯が変形してしまった、などが考えられます。60℃以上の熱いお湯にいれると入れ歯は変形してしまいますので注意してください。
シーソーのように動く入れ歯でも、なぜか問題なく使われている方もいらっしゃいます。
絶妙な力の加わり方、かみ方、頬や舌の動きによってはずれないのでしょう。だからといってほって置くと、歯ぐきが傷ついたり骨の異常吸収がおきたりしまいます。したがって隙間があるな、動くな、と思われたらすぐに調整してもらってください。
Q25.顔がずれたような気がします新しく入れ歯にしたのですが、鏡をみると顔がゆがんだようにみえます。なぜこうなったのかわかりません。つくり直したほうがいいでしょうか?
今の入れ歯でもとに戻すのはむずかしいかもしれません。顔がゆがんでみえるのは、入れ歯をつくっていくうえで大きな見落としをしてしまっている可能性が高いからです。2つの原因が考えられます。歯並びとあごの位置です。
鏡を手にとってみてください。鏡を手にとってみてください。上の前歯をむすんだ線が目をむすんだ線と平行なら問題ありません。しかし、前歯をむすんだ線がどちらかにあがっているとゆがんだように見えてしまいます。上の前歯2本は特に重要です。この2本の位置関係によって印象は大きく変わってしまうからです。
あごの位置がずれたままつくり上げてしまったのかもしれません。上と下のあごの位置関係を調べる時に、「いつもの位置でかんでください」といわれませんでしたか? でもその時患者さんは緊張しているでしょうし、力がはいってしまってついいつもより前がみになってしまうことが多いようです。リラックスした状態がいいのですが、なかなかむずかしいようです。だからといってずれた入れ歯ができてもいけないわけです。何度もチェックしてつくっていかなければなりません。
Q26.入れ歯を入れてからあごが出たような気がします以前よりあごがでて受け口になったような気がします。入れ歯をつくり直さないといけませんか?
かみ合わせは低くすぎないですか?長年入れ歯をお使いになられて歯がすり減ったり、新しい入れ歯でもかみ合わせが低かったりすると、あごが出た感じになります。
適切な高さにもどしたら元のあごの位置にもどり、あごが出た感じはなくなるでしょう。図をご覧ください。上の図は本来のかみ合わせです。それが歯がすり減りかみ合わせが低くなってしまうと、下の図のようにあごの関節を中心にして前方にかみこんでしまいます。そのため受け口になってしまうわけです。
本来のかみ合わせより2、3ミリ低くなっただけでも、鏡で見てみると意外にあごが出たように 見えてしまうものです。
適切な高さにもどしたら元のあごの位置にもどり、あごが出た感じはなくなるでしょう。
Q27.よだれがでてしまいますいつの間にかよだれがでてきてしまいます。人前で恥ずかしい思いをしたくないので、今の入れ歯に非常に抵抗があります。なにかいい方法はありませんか?
よだれがでてしまうのは唇をしっかり閉じられないからではないでしょうか?閉じられない理由はいくつか考えられます。
まず歯の位置が考えられます。あまりにも唇寄りに並んでいたら、歯によって唇が押されてしまいます。そうなると上唇と下唇に隙間ができてしまいます。かみ合わせが高すぎる時も同様のことが考えられます。
次に形の悪い入れ歯のふちが原因になることがあります。ふちが長すぎる、あるいは適度な厚みがない場合、唾をためられるスペースがなくよだれがでてしまうことがあります。
もし鏡をみられて唇が開いていたり、閉じるのに力がいるようであったりするなら、抵抗なく軽く閉じられるように調整する必要があるでしょう。
Q28.唇が前に出たような気がするのですが・・・入れ歯にしてから唇が前に飛び出たような気がします。以前はこんな口元ではなかったのですが ・・・入れ歯のせいだと思うのですが、なんとかなりませんか?
ふちの分厚い入れ歯がはいっていませんか?入れ歯によって唇が前に出されすぎていることが考えられます。また本来の自分の歯があった位置より、入れ歯の歯が前にならんでいることも考えられます。したがってふちを薄く、あるいは歯を内側にならべ直してもらったらいかがでしょうか?きっともとの顔つきに戻るはずです。昔の写真をもってきていただき参考にさせていただいたら、より本来の顔つきに回復させることができます。
日本人は欧米人と比べやや唇が前に突出した顔貌をしているケースが多いといわれています。通常の手順で歯をならべ入れ歯をつくっていくと、できあがりは自然とそのような日本人の標準的な顔つきになっていることが多いです。もしかしたらあなたが欧米人に近い顔つきだったのかもしれませんね。
話しにくい、頬や舌をかみやすい【Q29~Q31】
Q29.話しづらいのですが・・・入れ歯を入れてから話しにくくなったような気がします。家族や友人もちょっと聞きとりにくいようです。相手にたびたび聞き返されたりすると、話すのがおっくうになってきて、無口になったような気がします。調整したらなおりますか?
初めて入れ歯をいれた場合に話しにくいということはよくあります。この場合には数日、意識的に口を大きく開けて、舌を動かしてみてください。しっかりと発音するように声を出していたら、自然と慣れてきて今までどおり話すことができるようになりますから、安心してください。それでも話しにくい場合には、入れ歯の形に問題があることが多いです。
私たちは発音する時に、舌を上あごに接触させて色々な音を出します。例えばラ行を発音する時には舌は上あごの前の部分に、サ行は横の部分に舌が触れなければうまく発音できません。したがって発音しにくい音がある場合には、入れ歯の厚さや形を修正して、発音しやすい状態をさがしていく必要があります。
ただ特定の音というわけでなく、とにかくしゃべりにくいという時は、入れ歯自体が分厚く、舌を動かせるスペースが狭くなっていることが多いです。その際には入れ歯を薄くしなければならないでしょう。
Q30.話すとカチカチ音がします話している最中、入れ歯の歯同士がカチカチあたって気になります。相手にも聞こえるような気がして気になっています。なんとかなりませんか?
かみ合わせが高すぎるとちょっとしたあごの動きでも上と下の歯があたってしまいます。高さには大体の基準があります。目と口までの長さと鼻からあごの下までの長さはほぼ等しいといわれています。図のように目と口までの長さと鼻からあごの下までの長さはほぼ等しいといわれています。これが大きくちがうと特に鼻とあごまでの距離が長すぎると、お悩みのようにカチカチとあたりやすくなります。適切な位置になるようにかみ合わせを調整する必要があります。
また使われている入れ歯の歯の材質による場合もあります。最近では硬いプラスチックの材料のものが用いられることが多いのですが、陶材の歯が用いられることもあります。そのような場合にはカチカチあたる音がしやすいようです。ただ材質による場合にはしばらく使ってみてください。だんだんと落ち着いてくると思いますよ。
Q31.頬や舌をかんでしまいます会話している時や食事の最中によく頬や舌をかんでしまいます。歯並びが悪いのでしょうか?それとも慣れていないからでしょうか?
上と下の歯の位置関係が悪いためでしょう。上と下の歯の凹凸がうまくかみ合っていたら頬や舌をかんでしまうことはありません。しかし、上図のように上と下の歯がはさみのように、あるいはまっすぐつながっているようなかみ合わせになっている場合には頬をかんでしまいやすくなります。
それを下図のように修正して段差とつけることによって、かんでしまうことはなくなります。
上と下の歯がはさみのように、あるいはまっすぐつながっているようなかみ合わせになっている場合には頬をかんでしまいやすくなります。
ほんのちょっと頬や舌を横に押しよけてやるようにするだけでいいわけです。
長年入れ歯を使っていると、歯がすり減ってしまい、上図のようなかみ合わせになってしまいます。かみ合わせをもとにもどすだけできっとかまなくなります。
入れ歯が邪魔で口に入れておけない、あごが疲れる【Q32~Q36】
Q32.入れ歯をすぐはずしたくなります入れ歯をしていると気持ちが悪くて、どうしても長い間入れてられません。ついはずしてしまい、そのままになってしまいます。入れ歯が自分の口にぴったりあっていないのでしょうか?
大きさ、形に問題があると思われます。入れ歯は小さくて薄いほうがいいに決まっています。しかしなくなった歯を補って、かめるよう機能するにはある程度の大きさが安定のために必要になります。したがって感覚的に小さく思えるようにつくる必要があります。
すぐにはずしたくなるような入れ歯は、非常に大きなものをいれている感覚にさせてしまいます。ちょっとした大きさ、長さによってそういう感覚にさせてしまう場所があります。それは上あごの後ろの部分と、下あごでは舌側の後ろの部分です。どうしてもはずしたくなるようなら、この部分を少しだけけずって調整してもらってください。はずしたくなり吐き出してしまうような感覚はなくなるでしょう。
ただし中途半端な調整をしてしまうと今度はそこに舌がふれて邪魔に感じることが多くなってしまいますので、すこしずつ調整してもらったほうがいいでしょう。
Q33.口の中が一杯になったような感じがします入れ歯にしてから、常におまんじゅうをほおばっているような口の中が一杯になったような感じがします。大きすぎるのでしょうか?
おっしゃるとおり大きすぎると思います。口の中に大きすぎるものをいれるとほおばったようになってしまいます。おそらくその入れ歯は、分厚くてふちも長いと思います。話しにくいし、食事もしにくいのではないでしょうか?入れ歯は失った歯の空間を補うものです。そのため大きすぎても小さすぎてもいけないわけです。大きい入れ歯を適切な大きさにするのは非常に難しくて時間もかかります。できることならつくり直されたほうがいいのではないかと思います。
Q34.あごが疲れます食べた後、あごがものすごく疲れます。かむのに力もいるみたいですし、入れ歯のせいでしょうか?
口の周りには、たくさんの筋肉がとりまいています。食べ物をかむ動きをしてくれる筋肉を咀嚼筋といいます。食事をする時、その筋肉が必要以上の力が入りすぎると食後ものすごくあごが疲れた感じになります。
ではなぜ力が入りすぎるのでしょう?力をいれないとかめない状態になっているからです。つまりかみ合わせが低い、あるいは歯がすりへってしまいツルツルの状態になっているからでしょう。ですからかみ合わせをもとの高さに戻し、歯もツルツルでないもとの凹凸のある本物のような状態にしなければいけません。
ただし慣れるまでちょっと時間がかかると思います。というものかみ合わせが高い状態からもとに戻した場合にはすぐに慣れるのですが、低い状態から戻す場合には違和感を覚えられる患者さんが多いからです。ですからゆっくり時間をかけて、すこしずつ高くしていくのがいいでしょう。
Q35.入れ歯を入れてから歯を食いしばるようになったような気がします今まで感じたことがなかったのですが、新しい入れ歯にしてから歯ぎしりや歯をくいしばってしまいます。そのうち慣れてくるでしょうか?
かみ合わせが高すぎる入れ歯では歯を食いしばってしまい、あごが疲れてしまいます。
人はリラックスしている時、決して上と下の歯はかみ合わさっていません。2~3ミリほどの隙間がある状態でいるのです。この隙間のことを安静空隙といいます。かみ合わせが高いと、この安静空隙をとることができず常に上の歯と下の歯がかみあって力が加わっている状態になってしまいます。そのままほって置くとあごの関節に異常が出たり、骨の異常吸収がおこってしまったりします。
ですから適切な高さに戻す必要があります。高い状態から元のかみ合わせに戻すのは簡単にでき、またすぐに慣れると思います。
Q36.うがいしにくいですが・・・入れ歯をしたままではうがいがしにくいですが・・・うがいをする時にはいつもはずしてからしています。入れ歯だからしかたないのでしょうか?よい解決法はありますか?
うがいしにくいのは舌が動かしにくいためでしょう。入れ歯をいれると当然口のなかのスペースは小さくなります。プラスチックの入れ歯だと厚さが3ミリほどあり体積にすると相当なものです。もしかしたらお使いになられている入れ歯は厚さが3ミリ以上あるかもしれません。また人工歯が舌側に寄りすぎて並べられていても結果として舌を動かせる空間がせまくなります。
したがって十分舌を動かせられる入れ歯にする必要があります。解決法としましては、1つ目は今の入れ歯を薄く削るという方法が考えられます。ただし強度の問題があり、薄くしすぎると割れてしまいますので限界があります。もう1つの方法としては金属を使った入れ歯にすることです。金属ならうすくできるので、舌を動かせる空間も十分できます。
どちらにもいえることですが、人工歯は舌側に寄りすぎないようにならべてつくってもらう必要があります。
味覚がおかしい、口の中の感覚が変である【Q37~Q48】
Q37.口の中が乾燥してカサカサします口の中が乾燥するためか、入れ歯で歯ぐきがこすれて痛いです。乾燥するのは入れ歯をいれているせいでしょうか?
それは入れ歯とは関係のないと思われます。おそらく口腔乾燥症(ドライマウス)のせいでしょう。口腔乾燥症とは、唾液の分泌量が減って口が渇いた状態になることです。症状が進行すると、舌や口の粘膜がひび割れて痛む、口内炎になる、ものを飲み込めない、話しにくくなるといった不快な症状があらわれます。また乾燥はむし歯や歯周病の原因にもなりますし、口臭や味覚障害がおこることもあります。
お悩みのように唾液の量が少なく口の中が乾燥していると、口の中は非常に悪い状態となります。入れ歯自体には問題がなくても、ちょっとこすれただけで痛みや傷になってしまったり、はずれやすくなってしまったりします。
原因は色々ありますが、最も多いのは薬の副作用です。高血圧の方が飲まれる降圧剤や抗アレルギー薬、抗うつ剤などは唾液の分泌量を減らしてしまう作用があるといわれています。また多くの薬を飲まれている方も薬の相互作用によっておきてしまいます。
涙や唾液が出にくくなるシェーグレン症候群という病気や糖尿病、腎臓病、顔や口の放射線治療を受けられた方も乾燥しやすくなります。
治療法としてはまず原因を特定し、唾液が出やすくなる薬の服用や、薬の副作用なら内科の先生と相談して今飲まれている薬の変更や減量が必要でしょう。そのほか人工唾液や保湿剤といった口が潤うものもありますので、歯科医としてはそれを処方さしていただいています。
Q38.味覚がなくなってしまいました入れ歯にしてからあまり味が感じなくなりました。せっかくみんなでおいしいものを食べても、自分だけ味わえなくて非常に悲しい気持ちになります。昔のようにおいしく食事をしたいです。入れ歯では昔の感じを取り戻すことはできないのでしょうか?
甘い、からい、すっぱい、苦いといった味覚は、味らいとよばれる感覚器が感じ取るものです。その味らいは舌や上あごに広く分布しています。その味らいが障害をうけると味覚がおかしくなったり、なくなってしまったりします。
原因の多くは亜鉛不足によるものです。そのほか口が乾燥すると、味らい自体の働きが弱まってしまいます。
もちろん入れ歯も関係します。とくに上の入れ歯では上あごを大きく覆ってしまうので、味らいの働きを妨げてしまいます。したがって、上あごをくりぬいた入れ歯にしたら、以前のように味わいを取り戻すことができるでしょう。
Q39.口の中がピリピリします入れ歯を入れていると、口の中がピリピリとした感じがします。うまく表現できないのですが、圧迫されるような、焼けるような感じがして仕方ありません。どうしてでしょうか?
神経が圧迫されるためにお悩みの症状がでるのでしょう。あごの骨にはいくつか大きな神経の出入り口があります。上あごでは前歯の部分の切歯管部、奥歯の大口蓋孔部、下あごではオトガイ孔部とよばれるところです。通常そこにはあまり力が加わらないように避けて入れ歯はつくられています。しかし骨の吸収が進み、その出入り口の神経が圧迫されるようになると、ピリピリした圧迫されるような熱感がでてきます。このような時にはその出入り口に力がかからないように入れ歯をけずって調整すれば、その症状は自然と消えていくでしょう。
Q40.歯ぐきがブヨブヨします前歯の歯ぐきが腫れぼったくブヨブヨしています。痛みはないのですが盛り上がっており、以前はこのような感じではなかったので気になります。なぜこのようになったのでしょうか?大丈夫でしょうか?
これはフラビーガムといわれるものです。ブヨブヨとしているとおっしゃるとおり、別名コンニャク状歯ぐきともいわれています。入れ歯安定剤をお使いになっていませんか? 適合の悪い合わない入れ歯を長期間無理に使っているとこのような状態になりやすいです。
入れ歯が動くうえかみ合わせが決まらないために入れ歯と歯ぐきとの接触具合がたえず変わります。こうしてかみしめが行われると、歯ぐきに対する力のかかり方、方向が定まらず、歯ぐきは常に揺さぶられ、骨が異常吸収をおこします。これが歯ぐきの増殖をひきおこしてブヨブヨになるわけです。痛みが伴うことはあまりありません。
入れ歯安定剤は多少入れ歯の適合が悪くても粘着力ではずれなくしてくれます。ただし毎日使い続けると少しずつ少しずつ違った位置に入れ歯がいれられることになります。毎日違う部分の歯ぐきが押されるため、ブヨブヨになってしまします。一時的に使うには問題ありませんが、長期にわたって使うとなると注意が必要です。
フラビーガムになると、入れ歯は座布団の上に乗っているような状態になり安定しません。そのために安定剤を使う→ブヨブヨ→安定剤を使う・・・という悪循環を引き起こしかねません。そのために適合のよい入れ歯に新しくされることをお勧めします。ただしこのような状態で入れ歯をつくるには一工夫いります。
Q41.口の中が一杯になったような感じがします入れ歯にしてから、常におまんじゅうをほおばっているような口の中が一杯になったような感じがします。大きすぎるのでしょうか?
おっしゃるとおり大きすぎると思います。口の中に大きすぎるものをいれるとほおばったようになってしまいます。おそらくその入れ歯は、分厚くてふちも長いと思います。話しにくいし、食事もしにくいのではないでしょうか?入れ歯は失った歯の空間を補うものです。そのため大きすぎても小さすぎてもいけないわけです。大きい入れ歯を適切な大きさにするのは非常に難しくて時間もかかります。できることならつくり直されたほうがいいのではないかと思います。
Q42.入れ歯のバネが歯をしめつけます歯にかけているバネがきつく、歯がとてもしめつけられる感じがします。すぐ調整してもらったほうがいいでしょうか?それともしばらくしたら慣れてきますか?
入れ歯を何回も出し入れしてされていると、バネがゆるくなってだんだんとはずれやすくなってきます。「ゆるくなったからきつくしてほしい」と歯科医に頼むと、たまにとんでもなくきつくされることがあるようです。私でもなかなかはずせないくらいきつくしめつけられた入れ歯もありました。当然ご自分ではずすのはとうてい無理です。
このようにバネがきつすぎると歯がとても圧迫されしめつけられる感じがします。バネの役目は、上の入れ歯は落ちてこないように、下は浮き上がらないようにすることですから、その役目を果たすための適切な力加減というものがあります。この力が極端にこえるとお悩みのように歯がしめつけられる感じがします。
またバネをきつくしすぎると、その力が変な方向にかかり歯が圧迫されてしめつけられる感覚が生じることもあります。バネの付け根が歯と歯の間を押し広げるためにきつくて入れ歯をいれてられないとおっしゃられる患者さんもいらっしゃいます。
これも歯に変な方向に力がかかっているためでしょう。
無理な力は歯が抜けてしまう原因にもなります。自分でもはずせやすい適切なバネの強さに調整してもらいましょう。
Q43.温度の感覚がありません入れ歯にしてから、熱いものや冷たいものがあまり感じられません。温度がわからないと食事もおいしくなくなってしまうのですね。解決する方法はありませんか?
あごが入れ歯におおわれているため、熱の伝わりが悪いのですね。とくにプラスチックの入れ歯の場合には、強度をあげるために分厚くしなければならないため、なお熱の伝わりが悪くなります。
温度がわからないというのは、味覚にも影響を与え、想像以上に食事をまずくさせるようです。熱かんが好きな方も、熱さを味わうことができないため困られています。
温度を感じやすくするには、熱が伝わりやすい金属の入れ歯にする、あるいはできるだけ歯ぐきを覆っている部分を小さくするような入れ歯をつくっていくしかないでしょう。
感覚が良くなり、以前のようにおいしく味わうことができるでしょう。
Q44.金属の味がして気持ち悪いです入れ歯の金属部分がどうしても気になります。金属独特の味がして気持ち悪いのですが、なんとかならないでしょうか?
入れ歯の一部に金属が使われることがあります。口の中に使われる金属は、非常に安定した全く問題のないなじみのよい金属が使われます。ただ患者さんによっては金属部分をなめた時の味というか感触を非常に気持ち悪がられる方もいらっしゃいます。また金属成分によってはアレルギーをしめされる方もいらっしゃいます。このような場合には金属を使わない入れ歯をいれるしかありません。
ただ金属がよく磨かれていない場合があります。あなたのその金属は滑らかで舌触りはいいですか?みがきが足りないとその部分に汚れがつきやすく変な味がしやすくなります。
そのような場合にはきれいにみがき上げてもらってください。嫌な感じもしなくなることでしょう。
Q45.舌がピリピリします舌が荒れてピリピリします。これも入れ歯のせいでしょうか?
入れ歯のふちを指でさわってみてください。ざらざらしているようならそのせいでしょう。また細く鋭くなっているために、切れて傷つく場合もあります。
その他には入れ歯の成分が溶け出している可能性もあります。プラスチックの部分は化学反応によって固めてつくっていきます。その際にはゆっくりと低温で長時間かけて固めていけば問題ないのですが、時間節約のため高温、短時間で固めてしまうこともあります。
そうした場合一見問題ないようにできあがりますが、実際にはしっかり固まっておらず、成分が溶け出してくることがあります。接着剤のような味がして舌が敏感な人ならすぐ気づくでしょう。この時はつくり直してもらったほうがいいでしょう。
入れ歯に問題がない場合には、全身的な問題が考えられます。ビタミンBが不足すると舌があれやすくなります。そのほか唾の出る量が少なくなると口の中が乾燥してちょっとしたことで傷がついてしまいます。そのような場合には、それらの治療が必要となります。
Q46.入れ歯がざらざらします入れ歯の縁をなめるとざらざらした感じがします。舌もこすれて痛いですし、気になってしかたありません。
入れ歯は粘膜が傷つかないように滑らかにみがきあげられています。したがってざらざらした感じは本来ないはずです。ではどのような時にざらざらするのでしょう。
まずみがきあげ不足が考えられます。入れ歯の修理やつぎ足した後に、仕上げをおこたるとこのようなことがおこります。これは完全に歯科医の責任です。もう一度みがいてもらいましょう。
他に入れ歯の破折、ひびが考えられます。自分で気づかないうちに一部分われてしまっていることがあります。とくにひびは光にあててよくみないとわからないことがあります。
小さなひびや破折もほっておくとだんだんと大きくなってしまいます。このような場合はすぐに修理してもらったほうがいいでしょう。
Q47.入れ歯のふちに食べ物がたまりますいつも食事をした後には入れ歯のふちに食べかすがたまってしまい気持ち悪いです。1人の時はいいのですが、友達と食べている時ははずしてとるわけにもいかないので困っています。
ふちが段差になっていませんか?多少段差になっていても、頬がふちを包みこんでくれます。そしてかむ動きとともに頬が動いて、食べ物を口の中運び込みます。ただ段差が大きすぎるとたまってしまいます。入れ歯のふちは適度な厚みと丸みをもっているのが理想です。その豊隆と頬や舌の協調した動きによって口の中での食べ物をかんで飲み込んでいくわけです。ふちに食べかすがたまるのは、その動きの流れが悪いからであって、ちょうどよい形に整えなければなりません。
Q48.かむ時いつも前歯からあたります食事をする時、いつも前歯が先にあたってから奥歯があたります。はずれていまいそうな気がして仕方ありません。入れ歯ではこのようなかみ合わせなのでしょうか?
ちがいます。入れ歯だからといって前歯からあたるようなかみ合わせにすることはありません。逆に前歯に力がかかると入れ歯にははずれる力がかかるので当たらないようにするくらいです。
もし最初から前歯があたるのであれば入れ歯の歯並びの問題です。つくっていくうえでかみ合わせをチェックしていく段階があるのですが、その際にいつものかみ合わせより前でかんでいた可能性があります。前歯からあたるような入れ歯をあまり長く使われることはお勧めしません。なぜなら上の前歯の歯ぐきが柔らかくブヨブヨになってしまうからです。
あなたがもし長年使われているうちに前歯から当たるようになられたのであれば、それは奥歯がすり減ってきたためでしょう。このような場合にはもう一度本来のかみ合わせの高さに戻す必要があります。
耳鳴り、肩こり、腰痛がする【Q49~Q51】
Q49.肩こりがひどくなりました入れ歯をいれてから肩がこってしかたがありません。入れ歯が肩こりに関係することはありますか?
あるといわれています。人間は2本足で立つことができますが、それはデリケートで不安定な姿勢なのです。それは頭という重いものが上にあり、バランスをとる必要があるからです。左右しっかりとかみ合っていれば、頭部のバランスを保つことができますが、かみ合わせが悪いとあごがずれて、そして頭の位置がずれてしまいます。
そうなると首の筋肉によって頭をもとの位置にもどそうとバランスをとろうとします。
この状態が続くと、首が安定しなくなり、首筋、肩がこるといった症状がでてきます。入れ歯と肩こりは関係なさそうに思えますが、このようにかみ合わせは非常に重要なことなのです。
Q50.耳鳴りに悩んでいます入れ歯にしてから耳鳴りがするようになりました。耳鼻咽喉科で検査してもらっても、耳には異常はないといわれました。入れ歯をいれることによって耳鳴りがおこることはあるのでしょうか?
耳鳴りの原因が入れ歯かどうかははっきりとはわかりません。しかし関係することもあるようです。
耳のちょっと前に指をあててみてください。そして口を開けたり閉めたりしてみてください。その時指に動きを感じると思います。それがなにかというと、下あごの骨なのです。
下顎頭といわれるもので、あごの関節をつくっています。
お分かりと思いますが、耳と下顎頭は非常に近い位置にあります。かみ合わせが低すぎ、あるいは下顎頭が関節の後ろのほうに位置するようなかみ合わせだとします。すると関節が圧迫され血液の循環が悪くなり、すぐ後ろの耳に影響がでてきて耳鳴りや難聴になる可能性もあります。
入れ歯をはずして寝て、朝起きると耳がおかしかったり、あごがいやに疲れていたりすることがある場合にはこのような原因が考えられます。その時は入れ歯をいれたまま寝るほうがいいでしょう。
Q51.姿勢が悪くなって、腰痛がおきます入れ歯にしてから姿勢が悪くなったような気がします。かみあわせと姿勢が関係あることを以前新聞で読んだことがあるのですが、それは入れ歯でも関係することはありますか?
人間には代償作用という働きがあります。体のある部分が傷ついたりすると、他の部分がその部分の働きの代償をするというものです。よく知られているのが腎臓です。片方の腎臓が病気で失われても、残ったもう1つのほうが今まで以上の働きをしてくれます。
かみ合わせが悪いと、その代償作用によって体全体のバランスが悪くなり、歪んでしまいます。人間は頭を背骨で支えていますが、これは重心が上にあり非常にバランスをとるのが難しいことなのです。その状態でかみ合わせに問題があると、あごがずれて頭の安定が悪くなります。それを背骨で補おうとして背骨が曲がってきます。歪はどんどん下に進んでいき、腰が痛くなってしまいます。
かみ合わせの問題は当然入れ歯でもおこりますので、腰痛の原因となることもあります。
腰痛に悩まされている方は非常に多くいらっしゃいます。ただ長年悩んでいらっしゃるのは、症状の表れている場所のみに注意がいってしまっているからでないでしょうか?体全体でみると、かみ合わせの異状による体の歪というのは重要なポイントです。
入れ歯の取り扱い方【Q52~Q54】
Q52.入れ歯の洗い方がよくわかりませんやはり入れ歯も磨かないといけないと思うのですが、洗い方がよくわかりません。自分の歯と同じように、歯みがき粉をつけて歯ブラシで洗えばよいのでしょうか?
入れ歯がむし歯になることはありませんが、清潔にすることは重要です。最近ではみなさんそのことをよく理解されていているようです。
ただ間違った理解をされている方もいらっしゃいますので注意が必要です。
入れ歯は普通の歯ブラシ(できたら柔らかめで)または入れ歯用の歯ブラシで歯みがき粉をつけないで磨いてください。つい力をいれてみがきがちですが、その必要はありません。歯みがき粉をつけてみがくと、プラスチックの部分はすぐにすり減ってしまい、合わなくなる原因となってしまいます。たまに使われている入れ歯がぴったりしているので、はずさないでそのまま自分の歯といっしょにみがかれる方もいらっしゃいますが、それはやめてください。
入れ歯の洗浄剤も効果的でしょう。歯ブラシではみがき残してしまうような細かい部分も洗ってくれます。いろいろな種類の製品がでているからどれを使ったらいいか迷われるでしょう。各製品の特徴がありますから、歯科医や薬局の方に聞かれて選ばれるほうがよいでしょう。
お湯で洗うのもぬめりがとれるので気持ちがいいのですが、60℃以上の熱いお湯だと入れ歯自体が変形しますので、気をつけてください。
もちろん自分の残っている歯をみがくのも忘れないで下さいね。
Q53.寝る時、入れ歯ははずすのでしょうか?寝る時には入れ歯はどうしたらよいのでしょうか?一日中入れたままでそのまま寝てしまうのですが、それでもいいのでしょうか?
寝る時の入れ歯の取り扱いはよく質問をうけます。つけたまま寝ると飲み込んでしまいそうとおっしゃる方もいますが、それはまずないと思いますので安心してください。あれだけ大きいものは飲みこもうにも意識的に飲みこまないと無理だと思います。
基本的にははずして寝ていただくことをお勧めしています。歯ぐきを休めて安静にさせるため、またはずすことによって入れ歯を洗う習慣をつけてもらうためです。そしてはずした入れ歯は、乾燥して変形しないようにコップなどに水をいれて浸しておいていただくようにお伝えしています。
しかし患者さんによっては入れ歯をいれたままの就寝をおすすめることもあります。例えば歯ぎしりや食いしばりをされる方です。のこっている歯への負担を避けるためやあごの関節の保護のためにいれたまま寝ていただくこともあります。また朝入れてから慣れるまでの違和感が非常に強い方もそうしてもらっています。もちろんこのような場合にも、ちゃんときれいに入れ歯をあらってから寝ていただいています。
Q54.定期的な検診は必要なのでしょうか?入れ歯は問題なく使えているのですが、歯医者さんからは定期的な検査に来てくださいといわれました。調子がいいので必要ないように思えるのですが、いかないといけないでしょうか?
定期的な検診は必ず必要です。異常がなくても6ヶ月、長くても1年に一度はお願いします。入れ歯を使用されている期間が長くなると、気がつかない間に徐々に口の中の環境が変化します。歯や歯ぐきが悪くなっていたり、入れ歯がすこしずつですが合わなくなっていたりすることがあります。
このような症状をほっておくと残っている歯はぐらぐらになってしまいますし、入れ歯の破損につながっていきます。いきなり大きな変化はおこりません。ひび割れや少し歯が欠けた、バネが折れていたというような小さな初期兆候があるものです。大きく壊れてしまうと修理するのにも時間が余計にかかってしまします。
いわば大きな地震に先立っておこる小さな前ぶれの地震を見分けるために定期的な検診をさせていただき、大きなトラブルにつながらないように早めに手当てをさしといていただきたいと思います。
入れ歯の汚れ、洗い方【Q55~Q62】
Q55.入れ歯の洗い方がよくわかりませんやはり入れ歯も磨かないといけないと思うのですが、洗い方がよくわかりません。自分の歯と同じように、歯みがき粉をつけて歯ブラシで洗えばよいのでしょうか?
入れ歯がむし歯になることはありませんが、清潔にすることは重要です。最近ではみなさんそのことをよく理解されていているようです。
ただ間違った理解をされている方もいらっしゃいますので注意が必要です。
入れ歯は普通の歯ブラシ(できたら柔らかめで)または入れ歯用の歯ブラシで歯みがき粉をつけないで磨いてください。つい力をいれてみがきがちですが、その必要はありません。歯みがき粉をつけてみがくと、プラスチックの部分はすぐにすり減ってしまい、合わなくなる原因となってしまいます。たまに使われている入れ歯がぴったりしているので、はずさないでそのまま自分の歯といっしょにみがかれる方もいらっしゃいますが、それはやめてください。
入れ歯の洗浄剤も効果的でしょう。歯ブラシではみがき残してしまうような細かい部分も洗ってくれます。いろいろな種類の製品がでているからどれを使ったらいいか迷われるでしょう。各製品の特徴がありますから、歯科医や薬局の方に聞かれて選ばれるほうがよいでしょう。
お湯で洗うのもぬめりがとれるので気持ちがいいのですが、60℃以上の熱いお湯だと入れ歯自体が変形しますので、気をつけてください。
もちろん自分の残っている歯をみがくのも忘れないで下さいね。
Q56.入れ歯からいやなにおいがします入れ歯がにおうような気がします。口臭の原因になるような気がして、つい手で口を隠しながら話してしまいます。入れ歯のにおいをとるいい方法はありませんか?
入れ歯のプラスチックの部分は吸水性があります。そのため汚れをほっておくとしみこんで嫌なにおいの原因となります。不潔な入れ歯のにおいは相当なものです。食べかすをそのままにしておくことは、生ごみを口の中に入れておくとこと一緒です。腐った生ごみのにおいはものすごいにおいがしますよね。そうならないためにも日ごろの清掃が大切です。
食事をした後、みなさんはかならずお皿を洗われると思います。洗わないままでそのまま使うと、気持ち悪く、せっかくのおいしい料理も台なしです。ほっておくと汚れもとれにくくなります。入れ歯もそれと同じです。汚れたままにしておくと、細菌がふえて不潔になります。もちろんにおいにも大きく関係します。きれいに洗うことを習慣づけてください。
Q57.入れ歯に色がついて汚くなってしまいました入れ歯に色がついてとれません。歯が茶色っぽくなってしまい、洗っても白くなりません。もとの色にもどりますか?
入れ歯のプラスチックでできている部分は実は目に見えないほどの小さな穴がたくさんあります。入れ歯の歯も最近は調整のしやすい硬質レジンというプラスチックでできているためじつは同じように細かな穴があります。そのため茶しぶなどが沈着して色がつくことがあります。これは日本茶や紅茶、コーヒーに含まれるタンニンがついて酸化したためにおこる着色です。このほかタバコのヤニなどは茶色い色とともにタールの成分のためににおいもついてしまいます。入れ歯にも歯石はつきますので注意してください。貧血の方で鉄剤を服用されている方は、鉄剤が口の中に残こり酸化して入れ歯が黒くなりやすいですので飲まれたあとはよくゆすいでおいてください。
色がついてしまった場合、入れ歯洗浄剤や歯ブラシで軽くこすってみてください。ただし歯みがき粉はつけないでください。つけてみがくときれいになっても細かい傷がつきますのですぐ色がついてしまう原因になってしまいます。
それでも色がとれない場合には歯科医院できれいにしてもらうのがいいでしょう。毎日のお手入れが大切です。
Q58.入れ歯洗浄剤は使ったほうがいいのでしょうか?毎日歯ブラシで入れ歯を磨いているのですが、入れ歯洗浄剤をすすめられました。使ったほうがいいのでしょうか?それに色々な種類がありすぎてどれを選べばいいのかわかりません。
入れ歯を清潔に保つのに、軟らかい歯ブラシで入れ歯を洗うことは重要ですが、ブラシだけではみがきにくい部分もあるのも事実です。入れ歯洗浄剤も併用することは高い清掃効果が得られるので、一緒にお使いになることをおすすめします。
洗浄剤ですが、薬局に行ってみると数多くの種類があります。配合成分、さまざまな効果や特徴をうたっており、どれを選べばいいのかわからなくなります。とくにすすめられたものがないのであれば、薬局の方に一番売れているもの、お勧めの洗浄剤をきくのがいいでしょう。
参考までに主な成分による特徴をお伝えします。次亜塩素酸系、過酸化物系、酵素系、生薬が含まれているものが、よく販売されています。
次亜塩素酸系は、細菌に対する非常に殺菌効果が高いのですが、その反面入れ歯の素材を劣化させやすい欠点があります。
過酸化物系は、もっとも広く使われている成分で、次亜塩素酸系ほどでないにしろ殺菌作用もあり、汚れや着色にも有効です。
酵素系は、たんぱく質、つまり食べかすを分解する効果があるものの、殺菌作用、消臭作用はやや劣ります。
生薬は、安全性に優れ、万が一飲んでしまっても害はありませんが、微生物や汚れには効果は弱いでしょう。
どの洗浄剤も色々と特徴付けて売られています。あなたの気に入ったものを使われるのが一番だと思います。なお洗浄剤は、水よりぬるま湯で溶かしたほうがやや効果が高いといわれています。ただし60℃以上のお湯で使うと入れ歯が変形してしまうので注意してください。
Q59.入れ歯が白くなっています入れ歯の裏をみると白い苔のようなものがついていてびっくりしました。これはなんなのでしょう?なんとなく気持ち悪いのですがほっていても大丈夫でしょうか?
あまり入れ歯を洗われてないのではないでしょうか?その白い苔はデンチャープラークといわれる細菌の塊です。したがってその入れ歯は非常に不潔な状態ということです。清掃が不良だと、入れ歯には食べかすや口の中の細菌がすぐにたまります。口の中は細菌にとって最高の環境で、どんどん繁殖していきます。なぜなら唾液による湿気、食べかすからの栄養源があるからです。とくにカンジダといわれる菌はほっておくと口内炎をおこします。また嫌なにおいの原因にもなります。このような場合はカンジダに効果がある真菌溶解性の入れ歯洗浄剤で洗われることをおすすめします。原因がわかったら気持ち悪くなられたのではないでしょうか。すぐに洗って清潔にしてください。
Q60.入れ歯の裏にものがたまります食事をすると入れ歯の裏に必ず食べかすがたまって、毎回洗い流さなければなりません。食事中にゴマとかが入り込んで痛い思いをすることもあります。なんとかなりませんか?
入れ歯と歯ぐきとの適合が悪く、安定していないと裏に食べかすがたまります。その場合は入れ歯の裏うちをして、ぴったりするようにすれば問題なくなります。
ただしいくら適合を良くしても解決しない場合があります。それは上の歯が数本だけ残っているような状態で部分入れ歯をお使いの場合です。それはいくらぴったりと適合を良くしても重力によって自然と落ちてきてしまうからです。このような時には使った後はよく洗ってもらうことを約束して入れ歯安定剤を使っていただくか、インプラントなどの処置が必要となります。
Q61.入れ歯がざらざらします入れ歯の縁をなめるとざらざらした感じがします。舌もこすれて痛いですし、気になってしかたありません。
入れ歯は粘膜が傷つかないように滑らかにみがきあげられています。したがってざらざらした感じは本来ないはずです。ではどのような時にざらざらするのでしょう。
まずみがきあげ不足が考えられます。入れ歯の修理やつぎ足した後に、仕上げをおこたるとこのようなことがおこります。これは完全に歯科医の責任です。もう一度みがいてもらいましょう。
他に入れ歯の破折、ひびが考えられます。自分で気づかないうちに一部分われてしまっていることがあります。とくにひびは光にあててよくみないとわからないことがあります。
小さなひびや破折もほっておくとだんだんと大きくなってしまいます。このような場合はすぐに修理してもらったほうがいいでしょう。
Q62.入れ歯のふちに食べ物がたまりますいつも食事をした後には入れ歯のふちに食べかすがたまってしまい気持ち悪いです。1人の時はいいのですが、友達と食べている時ははずしてとるわけにもいかないので困っています。
ふちが段差になっていませんか?多少段差になっていても、頬がふちを包みこんでくれます。そしてかむ動きとともに頬が動いて、食べ物を口の中運び込みます。ただ段差が大きすぎるとたまってしまいます。入れ歯のふちは適度な厚みと丸みをもっているのが理想です。その豊隆と頬や舌の協調した動きによって口の中での食べ物をかんで飲み込んでいくわけです。ふちに食べかすがたまるのは、その動きの流れが悪いからであって、ちょうどよい形に整えなければなりません。
入れ歯の種類、インプラントについて【Q63~Q66】
Q63.入れ歯についている金属が見えるのが気になります口をあけると歯にかける入れ歯のバネが見えてしまいます。話をしていても、友人に常に金属の部分をみられているようで気になります。できたら自分が入れ歯であることをあまり知られたくないのですが、なにかよい方法はありますか?
入れ歯が落ちてこない、あるいは浮き上がらないようにためにバネが必要です。ただ奥歯を失ってしまうと前歯にバネをかけざるおえなくなってしまいます。下の歯は目立ちにくいですが、上の歯、特に前から3番目の歯までにかける場合には非常に目立ってしまいます。
1番簡単な方法は唇にかくれる範囲のバネにしてしまうことです。これだと今のバネでもちょっとけずって調整するだけですむこともあります。ただ大きく口を開けたり、笑ったりするとどうしてもみえてしまうでしょう。
最近ではそのような悩みを解決するために色々な種類の入れ歯が開発されています。磁石の力を利用したマグネットの入れ歯、バネの色を白くして目立たなくしたもの、インプラントなどがそうです。これらを利用することでよりバネの見えない自然な口元の入れ歯になります。
Q64.入れ歯だとわからなくしたいのですが新しい入れ歯にしたら、友人に「入れ歯新しくしたのね」といわれました。できることなら人に気づかれないような入れ歯にしたいのですが・・・入れ歯とわかりにくいようにつくってもらえないでしょうか?
むずかしいお悩みですね。真っ白で四角い歯がべたっと並んでいたら、いかにも入れ歯とわかってしまいますね。やはり見た目の自然さが重要です。私も入れ歯と気づかれない自然な入れ歯づくりを心がけています。「歯科医療にたずさわっている専門的な目をもった人からみても、患者さん自身の歯ではないかと思うような自然な状態にできている入れ歯」をと。
いろいろと美しさを引き立てる歯の並び具合も研究されています。アメリカ人が好むハリウッドスマイルというのがあります。まるでハリウッドの女優俳優のような笑顔のことです。下唇のラインに上の歯が並んでいて、下の歯は見えなく、真っ白の歯。そのような歯もいいですが、それこそ不自然で入れ歯とすぐわかってしまうでしょう。
昔の写真があれば、それを参考にさしていただくのが一番だと思います。そうすることによって、ご家族や友人からみても、表情のある自然な感じにみえる入れ歯にすることは可能です。口元に自信がでてくれば、自然と素敵な笑顔になることでしょう。
Q65.入れ歯でも色々な種類があるのですか?新しく入れ歯をつくっていきたいのですが、歯医者さんでいろいろな種類の入れ歯の説明をうけました。たくさん話をされていったいどれがいいのかわかりません。どのような入れ歯がいいのでしょうか?
最近新しい材料やつくり方が開発され、ほんとうにたくさんの種類の入れ歯ができてきました。チタンを使った軽い入れ歯、マグネットの磁力によってくっつく入れ歯、金属のばねが目立たない入れ歯、インプラントを利用したものなど様々あります。歯医者としてもどれを患者さんにお勧めしたらいいか迷うことがあります。
いくつかの選択ポイントがあります。まず今あなたが一番悩んでいることを解決してくれる入れ歯にしてもらうことです。厚すぎるようならできるだけ薄くすることができるような入れ歯といったように、今一番困っていることを話すのがいいでしょう。
次に新しすぎるものは注意が必要です。毎年新しい材料や工夫がされた入れ歯でてきますが、いくつも消えていきます。なぜでしょう?ものすごくよさそうに見えても、実際口の中にいれて使っていただくと、いろいろな問題がでてきて使い物にならないからです。
やはり長年用いられてきた方法で、その中で改良されてきて今に至っているものがいいでしょう。
また修理することができるものがいいでしょう。すぐに壊れてしまうような入れ歯はいけませんが、永遠にその入れ歯が持つことは絶対ありません。いつかは絶対に修理が必要な時がきます。自分の体重以上の力で毎日かんでいるわけですから。修理が必要になった時には、短期間、できたらその場で直せるようなものがいいと思います。またつくり直しとなると申し訳ないですし、あなたもうんざりされることでしょう。
最後にもう1つ、取り外しが簡単にできるものがいいでしょう。複雑な仕組みをもった入れ歯があります。慣れるのに一苦労し、他の人では絶対にはずすことができないようなものです。もし入院したりして介助が必要になった時、きれいに洗うこともできなく不潔な口になってしまいます。介助者が簡単に取り外しでき、清潔に保つことができるものがいいと思います。また修理も簡単に済みます。
こういったことをふまえた上で、歯科医に「あなた自身や自分の親に入れる時、どの入れ歯を選ばれますか?」とたずねられたらいいと思います。納得のいく入れ歯をつくられてください。
Q66.インプラントはどのようなものなのでしょうか?歯を抜かないとならなくなりました。歯医者さんに「入れ歯は嫌だなあ」というとインプラントというものがあるといわれました。はじめて聞くのですがどのような治療なのでしょう?
最近インプラントという言葉をいろいろなところで目にするようになりましたが、まだまだどのような治療であるか知られていないようです。
インプラントとは、あごの骨に歯の根の代わりとなる金属の土台を埋め込み、その上に歯をつくって固定する方法です。えっ!!と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、骨が折れた時などボルトで固定することを考えられたらそんなに驚かれることではないかなと思います。歴史も古く、1952年にチタンと骨がくっつくことが発見され、日本でも20年以上前からインプラント治療が行われており、しっかり確立された治療法の1つです。
インプラントとは、あごの骨に歯の根の代わりとなる金属の土台を埋め込み、その上に歯をつくって固定する方法です。入れ歯は落ちてこないように、あるいは浮かないように、歯にバネをかけたり、歯ぐきと吸着させたりします。このインプラントは、骨に支えをとって動かないようにした入れ歯というわけです。骨とくっついているわけですから、しっかりして固いものもかむことができます。大きさも小さくでき、自分の歯のように見せることもできます。今までの入れ歯の概念を大きく変えることになりましたし、入れ歯の多くの欠点を解消することができる治療です。
ただ技術的に難しいことですので、ちゃんと診断をした上で治療してくれる歯科医を選ばれたほうがいいと思います。
その他の悩み【Q67~Q70】
Q67.いつも同じ場所が割れてしまいます修理したのにまた同じ場所で割れてしまいました。しっかり修理してくれていなかったのでしょうか?それとも自分のかみ方が悪いからでしょうか?入れ歯の使い心地はいいので今の入れ歯をつかっていきたいのですが・・・
入れ歯の破損は、加わる力が入れ歯の強度を上回った時におこります。一時的に強い力がかかった場合と、入れ歯の材料の疲労による場合の2つの割れ方が考えられます。
入れ歯の破損は、加わる力が入れ歯の強度を上回った時におこります。まず一時的にかかる強い力ですが、かたいものを瞬間的にかんだり、落としてしまった時には強い衝撃によって欠けたり割れてしまいます。これは予測できないことであり、すぐに修理してもらってください。
次に入れ歯の材料の疲労による場合です。たとえ弱い力であっても繰り返し加われば破損につながります。割れた面をよく見てください。樹木の年輪のように同心円の一部のような縞模様がみえますか?このような場合には原因を探らなければなりません。歯ぐきとの入れ歯の間に隙間ができていたり、入れ歯の歯が磨り減っていたりすると、入れ歯は押し広げられる方向に力が加わり割れてしまいます。原因を見極め改善させてから修理しないとしばらくするとまた同じ場所が割れてしまいます。
当然材質が劣化しやすくするようなことはひかえてください。はずしている時水につけないで乾燥させてしまったり、熱湯で洗ったりすることは劣化の原因になりますので避けてください。
Q68.最近つくったばかりの入れ歯なのに、もうあわなくなってしまいましたつい最近新しく入れ歯をつくってもらいました。それなのにもう入れ歯と歯ぐきとの間に大きな隙間ができてきました。どうしてでしょう?はじめはぴったりしていて問題なかったのですが、今では明らかに隙間ができてしまっています。
それは歯ぐきがやせてしまったのでしょう。でも短期間でそんなにやせることはあるのでしょうか? 歯を抜いた歯ぐきは3週間から1ヶ月ぐらいの間に大きく変化します。答えはあります。歯を抜いてすぐ入れ歯をつくったりした場合、必ず隙間ができてしまいます。歯を抜いた歯ぐきは3週間から1ヶ月ぐらいの間に大きく変化します。歯を抜くと支えていた骨が吸収してしまうからです。骨の吸収とともに歯ぐきの位置もさがり、そのため隙間ができてしまったのでしょう。歯を抜いたあと、歯ぐきの形がおさまるまで待ち、そのあとで入れ歯をつくるのが理想的です。ただその間何ヶ月も歯がないまま過ごすわけにはいきませんね。そのために歯科医は隙間ができるのはわかっていてもつくって、その後その隙間を埋めていくという方法をとるわけです。
即時義歯というものがあります。歯をたくさん抜いた後や前歯を抜かないといけない場合に、即その日にいれる入れ歯です。ぴったり合わないのはわかっています。そのあと歯ぐきの形が変わるのもわかっています。でもすぐいれないと全然かめなかったり、見た目が困ったりする場合にはこのような入れ歯をつくらせてもらいます。
また重度の糖尿病を患っておられる患者さんも骨の吸収が大きいため、すぐ隙間ができてしまって入れ歯が合わなくなることがあります。
Q69.入れ歯をいれてなくてもかめるのですか・・・歯が抜けてしまい、そのままにしています。歯医者さんには入れ歯をいれないといけない、といわれたのですが今のままでも十分かめます。入れ歯をいれずにほったらかしにしていたら何か悪いことでも起きるのでしょうか?
数本だけ抜けてしまった場合では、入れ歯をいれなくてもかむことはできるでしょう。しかしほって置くとどんどん悪い方向に進んでいきます。
抜けたままにしておくと、横の歯が倒れこんできたり、のびでてきたりします。徐々にですが、かみ合わせがガタガタになってきます。こうなると今まで均等に歯で支えてきたかむ力が一箇所に集中して、今度はその歯がグラグラになり抜けてしまいます。つまりだんだんと歯がなくなっていってしまうのです。そうならないよう防ぐためにも入れ歯をいれておいたほうがいいでしょう。
入れ歯をいれることによって、かむこと、発音、目ためを回復することができます。これらは日常生活に欠かせないことです。この機能が崩れだすと、さらに悪くなっていく悪循環がおこります。はじめは入れ歯に抵抗があると思いますが、はやく慣れていってください。
Q70.入れ歯に自分の名前をいれられますか私の両親は施設に入居しているのですが、入れ歯をなくしたり、洗面所で他の人の入れ歯と間違ってしまったりすることがよくあります。自分の名前を入れ歯に書くことはできませんか?
意外と知られていませんが可能です。名前や住所、電話番号などを記したラベルやプレートを入れ歯に刻名することができます。せっかく使い慣れている入れ歯もなくしてしまったらまたつくり直さなければいけませんし、なじむまで大変です。施設内での紛失や他の人のとの間違いは結構多いようです。名前を刻名することは簡単にできます。必要ならばお申しつけください。